初恋のきた道 |
00年・米=中 ★★★ |
監督:チャン・イーモウ
出演:チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、チョン・ハオ他
|
|
山村の小学校にルオという青年教師が赴任し、村の娘ディが一目で恋に落ちる。想いを言葉にする代わりに、彼女は心をこめて料理を作った・・・。一本の道を通して育まれた一途な恋を、『紅いコーリャン』『あの子を探して』の中国映画界の名匠チャン・イーモウ監督が描く。主演のチャン・ツィイーの『グリーン・ディスティニー』前のデビュー作であることも注目。2000年ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞。 |
チャン・ツィイーがとにかく純情で可愛いくて、ひたむきな恋心に泣かされる!という評判。どらよ、と観に行った。確かに可愛い。「 40年前の山村の素朴な少女の初恋」と呼ぶには、ツィイーは洗練された美少女で、少女期から大人に移り変わる寸前のきらめきはすでに終わっている。はにかんでみせる表情には、時々、わざとらしさを感じたり(つうか、これは日本人の感覚かもしれない。大陸のコはわりとこういう露骨でぶりっこな感情表現をするのよね)。・・・何だか、若い子に対して意地の悪いことを言うオバさんみたいでイヤなんだけど、それでもチャン・ツィイーは抜群に可愛いし、とにかく妙に泣ける話なのである。
ルオ先生の朗読する声が聞きたくて、小学校の近くの井戸に毎日水を汲みに通い、ルオ先生が食べてくれることを願って美味しいおべんとうを作ったり。ふたりの心が近付きはじめた矢先に、ルオ先生は村を去ることになる。ディの想いがひたむきで、激しいほど強いだけに、この別れは泣ける。ルオ先生が好きだという「きのこ餃子」を持って、馬車を追いかけて走る姿、転んで地面に散乱する餃子、みもふたもなく泣き出すディ。ルオ先生に貰った髪留めを落としてしまい、何日も朝から晩まで探し続けるディ。ルオ先生の帰りを待ち、雪道で立ち続ける姿。中国北部の山村の四季の移り変わりとともに、人を恋うという気持ちを、あまりにも激しく強く描ききっている。そして、ディとルオ先生の40年後は、プロローグとエピローグで語られている。彼らの息子によって。そう。彼らは結ばれたのだ。初恋が実り、死ぬまで添い遂げる。そういう人生を思わずいいなって思うほど、ひとりの人を愛しぬくことの喜びが描かれている。
帰りのエレベータである女性客が「これさあ、女の子が可愛いから純愛モノとして話が成り立っているけど、彼女が先生の好みではなかったら、単なるつきまといというか、恐い存在以外の何ものでもないよネ・・・」と話していた。がく〜〜っ。
|