リトル・ニッキー |
00年・米★★ |
監督:スティーブン・ブリル
出演:アダム・サンドラー、パトリシア・アークエット、ハーヴェイ・カイテル他
|
|
全米で飛ぶ鳥落とす勢いの若きコメディ・キング、日本では『ビッグ・ダディ』『ウェディング・シンガー』で知名度上昇中、アダム・サンドラー主演のSFX満載コメディ【ストーリー】ニッキーのパパは地獄の魔王サタン。次の1000年もパパサタンが支配することになって、世代交代を期待したニッキーの意地悪な二人の兄はがっかり。こうなったら人間たちの心を狂わせて、地上を地獄にしてやる!と地獄を抜け出した。地獄のエネルギーとなる、悪い魂が送り込まれなくなっては、パパサタンの魂は消えてしまう。パパを救うために二人の兄を連れ戻さなくては。ニッキーは地上世界へと向かうのだった。 |

アダム・サンドラーはアメリカの国民的スーパー・スターなんだって。芸域は、俳優、コメディアン、シンガーソングライターと広く、映画界ではトム・クルーズ、ジュリア・ロバーツ、メル・ギブソンに並び、「マネー・メイキング・スター」(客を呼べるスター)として選ばれている。アダム・サンドラーの初期の作品で、全米の大学生に熱狂的な支持を受けた『アダム・サンドラーはビリー・マジソン/一日一善』(95年・日本未公開・ビデオ有)の公開日と毎年同じ日を記念日と定め、イベントが開催されているほど。日本では『ウェディング・シンガー』『ビッグ・ダディ』『ウォーター・ボーイ』でだいぶ顔なじみになったはずだが、・・・アダム・サンドラーを知ってる人、どれだけいます?私自身も、アダム・サンドラー主演作を観てきているはずなのに、どれも印象が薄く、また、彼の作品で笑ったことが一度もないんです。つまり、我々日本人のお笑い感覚になじめない類の芸人ではないかと。いわゆる「老若男女に広くウケるアメリカン芸人の典型」。外国人が知るはずもないローカルなスターやスポーツネタを多用し、アクションや顔の表情は白けるほどに大仰。つまり、アダム・サンドラーって、日米カルチャー・ギャップの典型だと思うんですわ。「電波少年」で松本仁志が「アメリカ人を笑わせよう」という企画が進行中だが、アダム・サンドラーで腹を抱えて笑う国民とはそもそも笑いのツボが違う。あの企画が滞っているのも、わかるような気がする・・・・。
しかし、この『リトル・ニッキー』はえらくお金がかかっていて、凝った作品である。制作費100億円とか!?アダム・サンドラーも今や高額ギャラのスターだし、VFXもたっぷり使っている。ニッキーは兄たちを地獄に連れ戻すために、はじめて地上に「おつかい」にやってくるが、ひ弱で優しいニッキーのために、人語を話すブルドックのビーフィーが世話を焼くようパパサタンが手配。このビーウィー、顔といい、しぐさといい、アニマトロニクスを使って楽しいキャラクターに作り上げている。大酒飲むわ、女好きだわ、オヤジっぷりが愉快愉快。地獄世界もなかなか凝った作りで、バトル・シーンはモーフィング(姿をスムーズな動きで変化させるえる)などを駆使し、随所に見ごたえがある。笑えるかどうかは、ご覧になる方の「血中アメリカン濃度」によると思う。
クウェンティン・タランティーノが気のふれた浮浪者として登場したり、80年代のカリスマ・ヘビメタ・スター、オジー・オズボーンがクライマックスで重要な役で登場したり、サタデー・ナイト・ライブの常連(ファーストシーンに出てくるノゾキ魔役のジョン・ロヴィッツ、この人の話芸は英語がわからなくても可笑しいよ!)や、NBAのスター選手がカメオ出演したり・・・、この作品の製作総指揮を担当したアダム・サンドラーの人脈の広さがうかがえる。アメリカのテレビやスポーツに詳しい人は、大喜びすること間違いナシです。ニッキーの長兄、エイドリアンを演じたリス・エヴァンスが実にいい悪魔っぷり。リス・エヴァンスは『ノッティングヒルの恋人』でヒュー・グラントのルームメイト役で、キレた演技が最高におかしかった人。『ノッティングヒル』はこの人に支えられていると言ってもいいぐらい美味しいキャラだった。今後の活躍が楽しみ。リース・ウィザースプーンのコギャルっぽい天使ぶりも良かった。 |