ザ・メキシカン |
01・米★★ |
監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演:ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツジェームズ・ガンドルフィーニ他 |
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21世紀初のオスカー女優に輝いたジュリア・ロバーツと、ブラッド・ピットの初顔合わせが話題になった、コミカルアクション映画。監督は『マウス・ハント』のヴァービンスキー。【ストーリー】最近ツキに見放されている運び屋のジェリー(ピット)は、組織の命を受け、世界一美しいと謳われたアンティークの拳銃“メキシカン”を受け取るためにメキシコに旅立った。しかし現地でドジを踏み、銃を奪われてしまう。ジェリーが裏切ったと睨んだ組織は、喧嘩別れしたばかりの恋人サマンサ(ロバーツ)を人質にとり、さらに追っ手をメキシコへと差し向けるが、銃を狙っているのは実は彼らだけではなかった・・・。 |
ブラピ&ジュリア!夢のカップリング!と期待満点かもしれないが、実はこの二人のカラミは非常に少ない。始めの数分、ラストの数分、という程度。メキシコとラスベガスを舞台に、ブラピとジュリアがそれぞれ事件に巻き込まれていく様子が、交互に展開されていくスタイル。ふたりは「互いに愛し合いすぎている」絆の強いカップルという設定だが、正直言って、ブラピとジュリアのカラミからは、そのような息の合った印象はまったく受けない。別にふたりが仲が悪いわけでもない。なんでだろ。ブラッド・ピットはサイコ・サスペンスからラブストーリーまで、色々な役柄に果敢に挑んできているが、故淀川長治氏がおっしゃるように、ブラピは「ややオーバーアクト」。そして、共演者とハーモニーを醸すことが苦手のような気がしてならない。
しかし、ブラピが演じるジェリーは実にスウィート。「メキシコに来たんだから、レンタカーはクライスラーじゃダメ!」とぼろっちいピックアップに乗ったはしゃぎぶりといい(相棒になったペチャンコのボールをくわえた犬が最高です)、警察にとっつかまって鉄格子から手を伸ばしたスネた子犬顔(ぶりっこだなあ)といい、無邪気でオッチョコチョイな組織のパシリぶりを、スウィート、スウィートに演じている。ロケ地となった、メキシコ北中央部の高地、サン・ルイス・ポトシにあるレアル・デ・カトルセの石作りの町並みも実にシブく、旅情をそそられる。
一方、ジュリア扮するサマンサは、ショービズでの成功を夢見て一路ラスベガスへ。そこで組織の殺し屋リロイ(ガンドルフィーニ)の人質になるが、この映画で一番光っていたのが、サマンサとリロイの友情劇。殺し屋のわりに繊細で心優しいゲイのリロイ(ガンドルフィーニ、いい!うまいぞ!)と、旅の道中でしだいに心を通わせていくふたり。これは友情がらみのロード・ムーヴィー好きの私のドツボを押さえてくれました。サマンサも明るくて気のいい女性で、高感度女優のジュリアのイメージに合っている。ファッション、というほどのオシャレはないが、そっけないTシャツにさりげなく合わせたビーズやコイン使いのネックレスもワタシ的にはメチャメチャ気に入ったアイテム。こういうアクセ、欲しいな〜。
ええと、映画そのものとしては、テンポのだるさや、コメディタッチにすべき所が妙にスベっていたりと、気になるところが多かった。アンティーク銃“メキシカン”に登場人物たちが夢中になる動機もイマイチ語りきれてない。“メキシカン”にまつわる歴史的悲話が再現されるシーンも面白くない・・・・。せめて音楽ぐらい、いいものを使って欲しかった。
とりあえず、スウィートなブラピと、気のいいジュリアの、交わることのない平行線の魅力だけが、この映画の屋台骨であります。
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