タップ・ドッグス |
00年・豪 ★★ |
監督:ディン・ペリー
出演:アダム・ガルシア、ソフィー・リー、サム・ワーティングトン他
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愛と野心、希望と挫折という青年期の心の旅と、斬新かつアクロバティングなタップとをシンクロさせ、スピード感溢れる切れの良い映像で描いた青春ストーリー。監督は、最年少でローレンス・オリヴィエ賞最優秀振り付け賞受賞のディン・ペリー。先頃のシドニー・オリンピックの開会式でのタップ・パフォーマンスも演出した。主演は、ロンドンの舞台で高い評価を受けて、今まさにブレイク寸前の『コヨーテ・アグリー』のアダム・ガルシア。 |
“タップ・ドッグス”(本来はブーツメンという)というオーストラリア生まれのタップ・ダンスチームが破竹の勢いで急成長しているらしい。世界ツアーでは1億人以上の観客を動員したこのチーム、従来の優雅なタップ・ダンスのイメージを払拭し、燕尾服にシルクハットはジーンズとワークブーツに変わり、激しくパワフルなタップ・ダンスをを見せる。この“タップ・ドッグス”の主催者ディン・ベリーが、「もっと多くの人に“タップ・ドッグス”を知ってもらうために」とみずからメガホンをとり、かくして『タップ・ドッグス』という映画が作られた。
ストーリーは、リストラの中にある鉄鋼都市のニューキャッスル(ディン・ベリーの出身地)。父と兄と同じ鉄鋼所で働く青年ショーン(アダム・ガルシア)は、タップ・ダンサーを夢見ている。やがてチャンスが訪れて、シドニーでダンサーになるショーンだが、夢破れて故郷に戻ってくる。しかし、そこで待っていたのは恋人リンダが兄と浮気していた事実。失意の中で、ショーンはワークブーツに金具をうちつけた独自のタップ・ダンスを編み出し、仲間を集めてチームを組む・・・。
ふと気づく。鉄鋼所の作業の音や、金属的な足音・・・これをダンスに生かしてみよう!このあたりから物語りはがぜん面白くなってくる。トイレの便器を踏み鳴らしたり、鉄板の上、金網の上でブーツをひっかけて激しい音を立てながら、どんどん新しいタップ・ダンスが生まれてくる。その激しさは、リストラのムードを振り払い、若い鬱屈したパワーをぶつけるがごとく。
この映画の見所のすべてがダンス・シーンに集約されてる。クライマックスの閉鎖のきまった鉄鋼所で、従業員救済のために催されるチャリティ・ダンスショーは、迫力いっぱいで、ものすごく見ごたえがある。・・・ここでようやく「これでモトが取れた」と思える。つまり、ダンス・シーンを観るために、ベタベタな青春物語に付き合った。というのが正直な感想です。兄弟の確執、恋人とのすれ違い、妊娠、兄の死・・・・もう、色々盛り込まなくてもいいから、ダンスを見せろ〜状態。
リンダ役のソフィー・リーは、もう、典型的な「オーストラリアの可愛いコちゃん」。オーストラリア映画マイベスト5に入る『ミュリエルの結婚』で、トニ・コレット扮するミュリエルをいじめる、頭と尻の軽い美女をソフィー・リーが演じた時から、この大味な美女ぶりが、けっこう気に入っていたのだ。ハリウッドの美女とはちょっとテイストの違う、オーストラリア美女をご覧あれ。忘れちゃいけない、主演のアダム・ガルシア。私は苦手なタイプなんだけど、これほどダンスが巧いとはビックリ。なんでも、もともとシドニーの権威あるキャピタル・ダンス・スタジオに通っていて、ディン・ベリー監督のダンス・レッスンも受けていたほどの腕(足?)前だそう。折りしも『コヨーテ・アグリー』でキャリアを積みはじめたばかりでのこの主演、まさに時を得たという感じで、アダム・ガルシア、幸先いいかもネ!?
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