5/21(金)ニース(モナコ)→
いいひといやなひとinニース

ユースで感じたことに、やはり白人の中には東洋人を嫌う人がいるということ。挨拶してもロコツに無視したりして、謂れのない差別だなあとちょっと傷つく。しかし、差別する人間というのは、相手への無理解がはなはだしく、自分の人種や階級などのバックボーンに甘んじているだけの頭の悪い人たちである。ムカつくけど気にするだけ損なのだ。日本人だって在日の外国人を差別したり、東南アジアのリゾートなどで現地の人をアゴで使うようなやからがいる。大事なことは、私はそういう人間にはならないぞということだ。
妙に熱く語ってしまっているのは、実はこの日、ニースのシャガール美術館とマチス美術館に行った帰りの地元のバスの中で「あらまあ!東洋人がいるワ、いやあね・・・」みたいな態度を取るバアさんがいて、バスの中でとても窮屈だったのだ。
今日でニースのユースとさよなら。もっと旅慣れたらもう一度訪れたい。
まずはニース駅のコインロッカーに荷物を預ける。ヨーロッパのロッカーは、お金を入れて荷物を入れ、扉を閉めたら、ジジジ〜っとメモが出てくる。荷物を取り出すときに、ロッカーのプッシュボタンにメモに打たれている暗証番号を入力すれば開くというしくみです。この時始めて使うわけだが、迷わず一発で使えたのが嬉しかった。なんだ、判りやすいんだね。さあ、夜までしっかり観光しよう!まず、てくてく歩いてシャガール美術館へ。途中市場を通る。花や果物が色とりどりに並んでいる。観光地ではない、現地の暮らしがのぞけるこういう場所ってとっても好きだ。シャガール美術館は高台の高級住宅街に、しんとたたずんでいる。白い石造りのシンプルでシックな美術館。庭もゆったりしている。ここに展示されているシャガールの絵はキリスト教的救済をモチーフとした作品が主。特に60年代後半の作品はシャガールの生涯の中で最も脂が乗っていた時代ではないかなー(知らんが)。作品にみなぎる力には圧倒される。シャガールって水彩に近いあっさりした絵だと思いきや、実際見ると大胆な筆使いでぼってり絵の具を乗せているのね〜。粗い砂を混ぜたりして。それでも繰り広げられるのは青い淡い夢の世界。80年代の作品もいい。静かで老成といった感じで。それにしてもこの美術館は日本人団体観光客が多い。今までどこに隠れていたの?というくらい町では見かけなかった。「とりあえずツアーのオサエということで」美術館に来ているのか知らないが、どうあれ、たくさんの日本人が芸術に触れることはとってもいいことだ。庭のオープン・テラス・カフェが素敵なのでそこで食事をする。サラダとエビアン。こっちのサラダは量が多く、パンもついてくるからね。フランス人紳士が私と同じものをオーダーしていたのを見て、「私もスマートな人間になったもんだ」と感激。たかがサラダと水ではないか。空は青く、緑が色濃い。吹き渡る風はそよそよ。なんだかとっても豊かな気持です。
マチス美術館に移動。シャガール美術館からさらに坂を登って行く。地図ではスグ近所に見えるのに、これがちょっとした遠足になる。ヒイヒイ言いながら行き着く。とても広い!入り口で入館料を払おうとするが、しまった!お金がないっ。クレジットカードも使えない。銀行も見あたらない。ズボンのベルトにぶらさげている特製サイフ「ぶらんこパース」をひっくり返しながら、ああ、どうしよ〜、と困っていたら、優しそうな女性職員が「タダでいいわヨ、せっかく遠くから来てくれたんだもの」と入れてくれた。その親切がとても嬉しかった。ここの絵は私の心には残らなかったけど、優しい職員さんのために、永久に栄えあれ!人に親切にしてもらったことって、とても嬉しい思い出になる。私もきっと親切な人になるぞ。と、心に誓う。帰りに銀行に寄ったら、すごいハデなおばさん行員だった。ハデだけど気のいい人だった。
モナコ・モンテカルロにて
夜行列車の時間まで、モナコのモンテカルロで遊ぼう。イタリアに向かう電車の中は、陽気なイタリア語が聞こえる。こっちの人たちの偉いところは、老若男女、富める人も貧しい人も、ビジネスマンもヤンキーも、シートに座る時かならず「ここいいですか?」「どうぞ!」「メルシー(とかグラッツィエ)」と声をかけあうマナーの良さだ。見習いたいものです。
モナコ・モンテカルロ駅は、「ここがカジノとF1のリッチなモナコ王国っすか!?」と思うくらいサビれている。てくてく歩いて宮殿に向かう。おお、景色はさすがにすごい。海辺に切り立った山肌に、フジツボみたいに家や高層住宅が密集している。世界中のお金持ちが住むモナコだけど、なんだか熱海みたいなところだなーとちょっと思う。宮殿も意外に小さくてびっくり。グレース・ケリー、ハリウッドにいた方がもっと豪邸に住めたのでは・・・とよく知りもしないで思う。モナコはカジノが国の主な収益。んー、こんなヤクザな国のプリンセスになって幸せだったのかしらん。モナコって漠然と優雅でオシャレで上品なイメージを勝手に抱いていたけど、そうでもないらしい・・・なんて、貧乏旅行者が外側だけ見て判断するのは良くないね。お金たくさん持って、カジノや高級ホテルで過ごしてみなくてはこういう所の良さはわからないよねー。ということで、グラン・カジノを見にいく。パリッと正装したイタリア人男性が、小さな息子を連れてカジノに入っていく。エントランスで息子の蝶タイを直しながら「気合入れろよ!男は気合だ」みたいなことを言ってる。正装しているものの、「その筋の人」という雰囲気が漂ってます。お坊ちゃんは今日がカジノ・デビューかしら、ちょっと緊張してます。これから楽しいことやワルイことをパパからいっぱい習っていくのね。
エクス・ヴァン・プロヴァンスのおじいちゃんと
ニースに戻り、水とりんごを買って列車の到着まで、駅で2時間待つことにする。夜の駅は危険です。「いかにも悪い人たち」が、公衆電話の周りにいて、スリの獲物を狙っている。電話に気を取られてスられないでよーーーと他の旅行者を気遣いながらも、荷物を抱きしめて私も緊張。気を張ってさえいればスリ・置き引き程度は防げる。明日は悪名高い危険地帯バルセロナだ。心しよう。
待っている間に、おじいちゃんが私に話し掛けてくる。私の英語よりはマシな英語だ。英字のペーパーバックを読んでいた香港人カップルが私たちを見ている。恥ずかしい〜見ないでくれ〜。荷物に気を付けながら、おじいちゃんと話す。「仕事は何かい?」「映画関係です(一応な)」「カンヌへ行ったのかね」「ハイッ♪」「映画の何を?」「レビューを少々・・・(大したことやってないけどね)」そしたらおじいちゃんってば「いやあ、映画関係と言うから女優さんかと思っちゃったヨ!」と、天にも昇るようなことをおっしゃる。「キャー、おじいちゃんたら〜!」楽しい時間を過ごす。「じゃあ、ワシの電車が来たから・・・ほら、悪い連中がいるから、気を付けていい旅をするんだよ!エクス・ヴァン・プロヴァンスもいい所だよ。孫もいるよ。いつか遊びにおいで」とおじいちゃん。お菓子屋だかをやっているからすぐわかるよみたいなことを言ってたけど、悔しいことに聞き取れなかった。自分が悔しいな。
初めての夜行列車
スペインとの国境の町、ポートヴー行きの列車が来る。予約チケットを見ながらクシェットをさがす。あったあった。ノックをしたら、中から見慣れた人種の若い男性がドアを開けてくれる。あっ、日本人だ♪「こんばんは!」と挨拶した。「アー・・・コンバンハ。私ハ韓国人デス」失礼!てっきり・・・。
「あっあっ、ごめんなさい、アイムソーリー」。慌ててクシェットの中に入る。クシェットはたいてい6人部屋の2等車輌だが、フランスだけは1等で4人部屋。今夜のルームメイトは韓国人男性のほかは白人男性一人。ふたりともイタリアの方から乗っていたようで、すでに寝ていたところを私に入ってこられたらしい。それでも二人は機嫌良く私の荷物を棚に上げてくれる。白人さんはアメリカ人かな。コリアン君は日本語上手だなあ・・・。備え付けられているシーツや毛布をセットする。とりあえず、今日は遅いから、おしゃべりは明日にして、静かに寝よう。

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