5/22(土)→バルセロナ→
日本人・韓国人 どっちもクールなアジア人
夜行列車での夜はとても快適だった。就寝前にやってくる車賞さんにパスポートとユーレイルパスを預け、到着前には起しに来てくれる。一人旅の身にはとても安心。でも一応公の場だから、貴重品は腹巻き式の貴重品入れに入れるなど、身につけておくこと。初めてのクシェットが男性2人に私、というのはちょっと面食らったが、旅人にはオトコもオンナもない(いい意味で)というのが旅行者の掟であり、マナーです。心地よい列車の揺れと、遠くに聞こえる汽笛を聞きながらぐっすり眠った。
朝、アメリカ人とコリアン君に「おはよう」を言って、みんなで協力して寝台をしまう。コリアン君はソウルの29歳の会社員だということや、短い休暇を利用してツアーに参加していること、そして日本語は学校(義務教育?)で習ったと教えてくれた。聡明で感じのいい彼は、日本の大手企業に勤める知人たちと雰囲気が似ている。きっとソウルでは仕事に燃えるヤングサラリーマンだろう。私たちの会話をニコニコして聞いていたアメリカ人は「キミも韓国人なの?」と私に聞く。「いや、私は日本人なんだけど」と言うと、「ふうん・・・」ちょっと神妙な顔をした。彼も案外知っているのかなあ、日本と韓国が複雑な事情に囚われていることを。でもアメリカ人はいい奴で、「でもどっちもクールで魅力的な憧れの国だ」と言う。
だけど、コリアン君と私の間には少しだけ緊張があった。日本人で「旅行中に韓国人に会ったらとりあえず謝ることにしている」ことを美談とする人がいると聞いたことがある。それはちょっと違うだろう。歴史的な事情は確かにあるけれど、歴史とは複雑に功罪が交じり合っていて、それを追求するには私達は真実を知らないし、真実の行方がすでにわからなくなっている。私達の世代はそろそろ水に流して(決して忘れ去るという意味ではなく)隣人と仲良くしたいと思うんだけど。コリアン君の、私と接する言葉や態度には、「僕は君が日本人だということを悪く思っていないよ」という気持が感じられる。いい人だ。韓国語の挨拶をいくつか教えて貰った。そして「いつか東京に行きたいな」「私もソウルに行って、本場の焼肉をたらふく食べる」と盛り上がった。
スペイン国境の街ポートブーに到着。コリアン君は別の車輌にいる友達と合流する。「良い旅を!」と別れる。カリフォルニア出身のアメリカ人は「さてと、バルセロナへ行く乗り換えはこっちだよ」と私を案内するが、あさっての方向だった。どうもヤツは方向オンチなので、「違うよ、アンタこっちだよ!」と私が連れて行く。
バルセローナ
カリフォルニア君とバルセロナ行きの列車に乗る。彼はバルセロナの友達に会うついでにイタリアを旅をしてきたらしい。「僕はスペイン語が話せるから役に立つよ。君も一緒に友達の所に行こう」と話をすすめる。しかし私はなるべく一人で行動したいし、いくら真面目そうな人とはいえ、初めて会う外国人男性と行動を共にするほど私はフランクな人間ではない。そもそも今夜の夜行でマドリッドに行かなくてはならないのだ。丁重にお断りするが、いかんせんこの英語力なのですごくつっけんどんな言い方をしてるっぽい。まあ、自己主張の国アメリカ人にコタエるほどではなかろう。「OK!頑張っていい旅をね!」笑顔と握手で別れる。
さあ、スペインだ。バルセロナだ!
バルセロナ・サンツ駅は大きくて賑やかで楽しいっ。ロッカーに荷物を預けてトイレで歯磨き。たくさんの外国人旅行者の女の子たちが夜行明けの歯磨きしてる。鏡ごしに目が合って、お互いに「うふふ」と笑う。さて、行こう。今日もまだガンバレそうだ。
地下鉄の1日乗車券を買って、乗り込む。愛読マンガ『バックパッカー・パラダイス』の著者、さいとう夫婦がバルセロナの地下鉄構内で「泥つけ強盗」(「泥がついてるから拭いてあげよう」と親切を装って、油断しているスキに仲間がスリ・強盗を働く。「ケチャップ強盗」「ヘアクリーム強盗」も同様)に遭遇したことをはじめ(かしこいさいとう夫婦は被害ナシ)、バルセロナは治安が悪く、何かと危ない噂が耐えない。気を引き締めて行こう。夜の夜行の時間までバルセロナをめいっぱい観光しなきゃ。私にとってのバルセロナはアントニオ・ガウディです。まずはサグラダ・ファミリア教会へ。バルセロナの地下鉄もわかりやすい。夜ではないからかさほど危険も感じない。地下鉄を下り、地上に出て「サグラダ・ファミリアはどこかいな〜」と見回したら、真後ろにデデ〜ンと建っている。すごいです!圧倒!この独創は何なんだ〜。今みても妙ちきりんな教会なのに、設計当時の周囲の反対意見をモノともせず、よくぞここまで自分の感性に忠実になれたもんだ。デコラティブだけどのびのびしていて素晴らしい。完成は200年後(だっけ)というサグラダ・ファミリア。工事現場はのったらのったらしています。「日本のゼネコンだったら1ヶ月で仕上げるぞー」などと思うが、献金でコツコツ建てているのでそういうわけにはいかないそうです。でも・・・完成まで持たないかも。
もっとガウディを堪能しようとグエル公園に行く。ここは街はずれの丘にある広い公園で、ガウディの遺したアートがいっぱい。土の回廊の冷ややかなたたずまいといい、モザイク模様の自由な美しさといい、オブジェの楽しさといい、とても嬉しい公園です。ギターを演奏している人もいる。これがとても素晴らしかった。私は哀愁を帯びたスペインのギター曲が大好きなんです。音大の学生が練習がてら演奏するアンサンブルも美しい景色に溶け込んで、この上なくぜいたく。そして花が咲き乱れる小路を、花嫁さんが通ったのです。その後市内の中心街ランブラス通りをブラブラしたり、道に迷ったりしながらバルセロナで楽しく過ごした。
夜行でマドリッドへ
今夜もクシェットで過ごす夜。ちゅーことは二日もお風呂に入れないわけだ。まあヨーロッパの気候はサラッとしていてさほど汗はかかない。しかし、清潔好き日本人としては気になる。クシェットのドアを開けると、すごくフレンドリーな白人バックパッカーの一人旅の女の子が笑顔で「ハーイ!」と。そして私の予約表を見て、「84番84番・・・あった。これがあなたのベッドよ。よろしくネ!」と世話をやいてくれる。他の乗客も全員女性で、親子連れもいる。やっぱり女性同士は気が楽。ヨーロッパのお母さんたちは子どもの躾がきびしい。どこで子どもを見かけても、公の場では騒いではいけないとわきまえていて大人しい。バックパッカーの女の子はユーレイルパスに何か記入モレがあったのか、車賞さんに「オヤオヤ、ブツブツ・・・」と言われていたけど、「何言ってんのかわかんないや!」とおどけた顔を私にしてみせ、ふたりでクスクス笑った。彼女はドイツ系アメリカ人らしい。
6人用のクシェットの中段は、1mの高さもないけれど、眠るのにはぜんぜん問題ない。シーツは清潔でツルッとした肌感。毛布もフカッとしていて気持ちいい。心地よい疲れで、ぐっすり眠る。
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