5/27(木)コルドバ→マドリッド
アディオス、アンダルシア

昨夜はホテルで持参のアルファ米(水・お湯で戻すだけでご飯ができるスグレモノ!味もイケル)で作った海苔巻きおにぎりを食べながら、セビージャ闘牛のテレビ中継を見てすごす。マタドールと牛の壮絶な死闘の末、死の瞬間に雄牛が見せる命の輝きには、確かに陶酔するものがあった。むむ〜、闘牛には独特のカタルシスがあるんだなー。ヘミングウェイが闘牛にハマるのもちょっとわかるなーなんて、おにぎりを食べながら偉そうに思った。
朝。ホテルのコンチネンタルの朝食を食べながら、今日のスケジュールを考える。11:17のAVEでマドリッドに帰るので、メスキータを見物するぐらいだなあ。フロントに荷物を預けてメスキータへ。11世紀、イスラム教徒の進入により、カリフ王朝の首都となったコルドバは当時人口100万人の都市(現在31万人)で、ヨーロッパ屈指の文教都市だった。回教寺院メスキータは、メッカにある世界最大の回教寺院につぐ規模。メスキータの内部はほの暗く、赤と白に塗り分けられたアーチが続き、幻想的である。現在はカソリック教会として使われているメスキータは、ゴシックとイスラムが不思議に調和している。ずっと讃美歌が流れている。とても心に染みた。コルドバに来れて良かったなあ。アンダルシア地方は異国情緒あふれる独特な色合いの不思議な所だった。他の町も訪れたかったな。セビージャに行かずに帰るのはもったいないな。マラガ、ロンダ、ミハス・・・魅力的な町も多い。でもまた訪れるつもり。
確かにアンダルシア地方にはエキゾチックな顔立ちの人が多い。これまでアントニオ・バンデラスは何だか変わった顔立ちだなあと思っていたけど、グラナダやコルドバではバン様の系統の顔立ちの青年をよく見かけた。ということは、バン様は典型的なアンダルシアの兄ちゃん顔なんだな。
コルドバの駅で列車を待っていたら、誰が見てもオランダ人にしか見えない長身の青年が、私のコロ付きバックパックをじーっと見て「君のバッグ、すごくいいね!」と言う。喜んで「ここからヒモを出せば、バックパックに変身するんだよ〜、その時コロはここのポッケに仕舞うんだよ〜」と説明してみせたら、「ク〜ル!!!」と大感激。「えへ、日本製だよ」と言ったら「超ク〜ル!!!」と身をよじらせて喜んでくれた。

ふたたびマドリッド
AVEでマドリッドへ。映画は『パリのアメリカ人』だった。しかし爆睡してしまった。
あっという間にマドリッド・アトーチャに着き、駅前のホテル・メディオディアにチェック・イン。フロントには山城新伍似のホセ・アントニオ氏がいる。「オーラ(Hi)」と挨拶すると、「セニョーラ!お帰り〜。待っていたんだよぅ〜」と熱烈歓迎を受ける。部屋に入り、ウォーキング・シューズをヘアクリームで磨き(私が編み出した裏技)、サンダルに履き替える。マドリッドにはいい美術館が点在しているので、ゆっくり街歩きをしよう。部屋のキーを預けるためにフロントに向かうと、ホセ氏がバチンとウインクをして「ね、ね、コーヒー好き?」と言う。コーヒーが何なんだ?「コーヒーは苦手だ(事実)」とだけ答え、逃げる。
私は絵画鑑賞が好きだが知識は浅い。よって的外れな感想になってると思うが、お許しを!
プラド美術館。ゴヤは中世のスペインを生き生きと描いた明るい絵ばかりではなく、地獄を描いたような絵も多く、これがめっぽうコワイ。素晴らしかったのはルーベンスのコレクション。中世の宗教絵画は似たようなものばっかし、と思いきや、ルーベンスだけは抜きんでているように感じた。ものすごく描き込みが細かいので仕上がりが違う。それでいて構図やモチーフは超大胆で、繊細さと大胆さを兼ね揃えているんですね。ベラスケスの人物画もその辺を歩いているようなおじさんのスナップ写真みたいでいい。出口付近で一人旅のカナダ人青年と話す。「ここは素晴らしい美術館だったね」と始まり、どの絵がどうで、何が心に染みて、と夢中で語るカナダ人。しかし、私が予想外に英語が話せないことをさとると、「じゃあ、お互いがんばろうね」と言って消えていった。
ソフィア王妃芸術センター。ここはピカソの「ゲルニカ」がある。「ゲルニカ」もすごいが、なんたってピカソは面白い。彼には人間がこのように見えるのか。でもそれが実在の人間よりも真実っぽかったりするのだ。ミロ・・・素晴らしいかも!シュールったって、どこかあっけらかんとして気持ちがいい。ポップで絶妙なバランス。ダリ・・・さっぱりわからん。まあダリにすれば「簡単にわかってたまるか」という所だろうが。それでも強く印象に残る。ダリも色んなスタイルを持っているようで、見飽きない。
デパートに入る。しかし、スペインは全体的におしゃれな女の子が少ない(でもスペインの女の子はすごく可愛い)ように、デパートでも「キャー、カワイイ!」と思える品物に出会えなかった。探せばシャレた店はあると思うけど。しかし、革製品だけは安くて質がいい。夕闇がせまり、街のバルに灯りがともる。バルはタパス(おつまみ)を食べながらお酒を飲んだり食事をしたりできるところ。入りたいけど、さすがに一人で酒場に入る勇気はない。バーガーキングに寄って大好物「ワッパー」を食べるが、日本のものと一味違うようだ。ケチャップとか野菜の品質の違いかなあ。
ホテルに帰る。ホセ氏はフロントにいなかった。部屋でアンダルシアの旅を耐えてきたブラックジーンズとダンガリーシャツを洗う。泡も立たず、コーラ色の水が出るほどホテホテに汚れていたが、マドリッドのからりとした風のおかげでカリッと乾いた。バルコニーからは広場が見える。夜10時だというのに子供たちがきゃあきゃあと歓声をあげながら楽しそうにサッカーをしている。テレビをつける。おかしなCMがあった。キャリアウーマン風の金髪美女がバーにやってきてビールを飲み干す。「ウ〜ン」と満足そうにグラスを置いた彼女の鼻の下はビールの泡がヒゲ状態に。それを離れた席で見ていた男性が「アワ!アワがついてるよー」と自分の鼻の下を舌でペロッとしてみせる。それに気付いた美女は「まあ、何かしら」という表情をする。「アワだよ!アワ!アワがついているんだってばー!」親切な男性はなおも一生懸命に鼻の下をペロペロしてみせる。そしたら金髪女性、すっかり勘違いして「うっふ〜ん♪」と舌をいやらしくレロレロしてみせる。で、「だみだこりゃ」ジャンジャン♪・・・・これ、日本のキリンなどではお目にかかれないようなCMだなあ・・・。


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