5/28(金)マドリッド→バレンシア→バルセロナ→
さよならマドリッド
メディオディアの部屋は居心地がいい。ぐっすり眠って気持ちのいい朝を迎える。今日はバレンシアを観光しているヤマちゃんと合流してバルセロナに行き、バルセロナから特急タルゴのホテルトレインに乗る。クシェットを持たない便なので寝台の料金は高いけど、まあ一度ぐらいはちゃんとした寝台に乗るのもいいかな。明日の朝にはイタリアはミラノに入る。
荷物を整理して、洗いたてのジーンズをはいてフロントでチェックイン。あらら〜いたわ、ホセ・アントニオ。「オーラ。チェックアウトよろしく」と部屋のキーを差し出したら、ホセめ、いきなり私の手をガッと掴んで「私の電話番号を知りたいか」とわけのわからないことを言う。「いらないよっ!」と手をふりほどいても、ホセはなお「セニョーラは私の名前を知っているか」と言う。「そんなの名札を読めばわかる。ホセ・アントニオ・・・バンデラスだ!」と私が言ったら、「あー、アントニオ・バンデラスか。奴はもうアメリカ人になってしまったよ」とちょっと暗い顔をする。そうか、バン様のハリウッド進出を喜んでいるかと思っていたが、案外複雑な心境なのね。そーよね、スペイン妻を捨てメラニー・ビッチ・グリフィスに走ってハリウッドに住みついちゃったんだもんね。しかしホセ氏は「ところで今度はいつ泊りに来るの?」と続けるので、「次の予定はないよっ!」と言った。「でも待っているからね〜」・・・これはスペイン式の「またのお越しを心よりお待ちしています」的サービスなのだろうか?ホセ氏はうるさいけど、メディオディアは気に入った。スペインのパンはイマイチで、メディオディアの朝食のパンもそう美味しくはない。だから、スペイン最後の朝はカフェでチューロとチョコラーテをいただこうと決めていた。アトーチャ駅に隣接するプエルタ駅の植物園の前にあるカフェテリアに入り、天井をつらぬかんばかりの大きな熱帯植物を眺めながら最後の朝食を楽しむ。本当にチューロとチョコラーテってベストコンビ。でも、マドリッドに到着した朝に食べた、チャマルティン駅のチョコラーテは素晴らしく美味しかった。
バレンシア行きの列車はまたファースト・クラス。クレープのベシャメルソース包みなどが出る。ダノンヨーグルトが美味しかった。楽しかったなあ・・・マドリッド、ドレド、アランフェス、そしてアンダルシア・・・たった5日間なのに、もう随分長いあいだ旅をしてきたような気がする。色んなことがいちどに心に押し寄せてきた日々だった。ほんとうに素晴らしい旅だった。
ヤマちゃんとバレンシアのパエリヤ!
3時間ほどでバレンシアに到着。正午に駅のツーリスト・インフォメーションの前でヤマちゃんと待ち合わせ。まるで「渋谷モヤイ像前で待ち合わせ」のノリを外国で展開しているなんて、人生には面白いことがあるなあ・・・と思っていたら、例の戦場カメラマン風ヤマちゃん到着。一人旅の途中で友達と合流できるのは本当に嬉しいことだ。再会を喜び合う。バレンシアはオレンジと火祭りと、そしてパエリアの本場。昼食は美味しいレストランに行く。『地球の歩き方』で読者の推薦を受けたその店は、ランチタイムで賑わい、ハンサム揃いのウェイターがきびきびと働いていて気持がいい。バレンシア風チキンのパエリヤと、メインのビーフステーキのアイヨリソースと、デザートとコーヒーで1000ペセタ!800円程度?ボリュームたっぷりでとっても美味しい!夢中で食べながら、お互いの旅のことを話しあう。ウェイターが「ねっ、おいしいでしょ?」と嬉しそうに言う。美味しかった。オレンジの花の香りが街いっぱいにただよう火祭りの季節のバレンシアにも、いつか訪れたい。
スーパーヤマちゃん
さて、バルセロナに出発だ。予約は不要と思いきや、バレンシア−バルセロナ間は混雑路線のようで、どの便も満席である。「まいったねえ、バレンシアに足止めだねえ。ホテルトレインもキャンセルかあ」と諦めかけた私だが、ヤマちゃんは違う。ヤマちゃんは鉄道インフォメーションにツカツカとのり込んで交渉し、車掌に交渉しだした。その交渉ぶりが「絶対にバルセロナに行く。でないと私達は困る!」と日本人とは思えないような強い姿勢だ。すっかりおびえて物陰にかくれ、ヤマちゃんの様子をうかがっていた私。「おーい、ぱんにゃ。車掌に交渉して、通路のトイレの前にいさせてもらうことにしたからね。予約ナシで乗るわけだから当然タダだ。ラッキー♪ワハハ」とヤマちゃんの報告を受け、あまりの自分との違いにクラクラした。列車のトイレ前でバックパックに腰掛けコーラを飲みながら「ひゃー、海だ海だー」と喜ぶヤマちゃんの横顔を見つめながら、ちっとはヤマちゃんを見習おうと思う私であった。
バルセロナでヤマちゃんがまっさきに飛び込んだ店は、キャンディー屋だった。ヨーロッパの主要駅のあちこちでお見かけするグミ・キャンディーの量り売りコーナーである。フルーツグミに、可愛いくまさんグミ、コーラのグミ、そして「ゴムのびっくりおもちゃ」風のミミズにクモに入れ歯型の悪趣味グミまで、なんでもアリの楽しいグミショップだ。「旅行中はいつもこれを買って持ち歩くんだよ」と言うヤマちゃんから食べさせてもらったグミは、酸味と甘みがちょうどよくて、グミグミ強い歯ごたえが気持ちいい。「なにこれ、すっごく美味しいね!」すっかり気に入った私は、その後旅が終わるまで、グミ屋をみつけるたびに買いこむグミ・フリーカーとなった。
ホテルトレインに乗る。9800ペセタも払ったんだから、満足させてくれよ、と思いきや、これが1等クシェットと大して変わりがない。タオルやミネラル・ウォーターのサービスはあるが、狭い4人部屋に小さな流しがむき出しについているだけ。『歩き方』にも特急タルゴのホテルトレインは期待外れだと読者の投稿があった。ヨーロッパにはホテル並みのデラックスな寝台車があるというのに、これはちょっとねえ・・・。「まあ、ヨシとしようや」明日の朝、目が覚めたらそこはイタリアだ。
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