6/2(水)フィレンツェ→ミラノ
ファッションの街ミラノ
朝、ユースホステルをチェックアウトして、ミラノ行きのユーロスターに乗る。トスカーナの風景を眺め、昼過ぎにミラノ中央駅へ到着。ホテルは『歩き方』イチオシの宿、「アダ」に決める。ミラノ中央駅の目の前というか裏側にある便利な立地条件。宿のおばさんはフレンドリーで信頼できる感じだし、部屋もきれいでとても居心地が良い。ヤマちゃんは依然として体調不良のようで、日本人医師がいる病院に行くという。ついて行くと言ったが「一人で平気」と出ていった。心配だけど、私がいる方がかえって手がかかる場合もあるし、とりあえずミラノを歩こう。
地下鉄に乗ってドゥオーモへ向かう。地下鉄を下り地上に出たら目の前には威風堂々ドゥオーモがそびえている。内部の装飾もゴシック調の特徴であるステンドグラスがとても美しい。
ボルディ・ペッツオーリ美術館へ。ここは絵画だけではなく、タペストリーや宝飾品、食器などのコレクションがあってなかなか楽しい。
買物前にブランド孝
ミラノはあまり見所は多くない。ミラノでの主な目的は買物。日本のファッションもかなりのレベルではあるが、やはりミラノにはかなわないと思う。日本で言えば「ジャスコ」のレベルのスーパーマーケットで扱っているクラスの洋服でさえ、いいセンスをしている。ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリアはドゥオーモ広場からスカラ広場へと通じている古いアーケード。天井付近の絵画も舗道のモザイク模様も見事。アーケードまでも芸術しているわけだから、イタリアの美に対する意識の高さははかり知れない・・・。ガッレリアには高級ブランドの店舗がたくさん並んでいる。ところで私は服装には割と無頓着で、機能性重視の人である。「ハダカじゃナンだからとりあえずくるんどけ」という感じで、ワンシーズン同じ格好をしているようなズボラである。しかし、全くおしゃれに興味がないわけではない。高級ブランドや宝石も実は意外と好きである。美術館が好きということと同じような感覚で、キレイなものや品質のいいものはやっぱりいいと思っている。高級ブランドというものは、伝統の重みと作り手の気合が入っている。ものすごいオーラがある。だから着る本人にもそれなりの品格や経験などといった受容力や迫力がないと本来は着こなせないと思う。でも、着る人をクラスアップしてくれる効果も確かにある。その効果を期待してブランド品とつきあうのもいいと思う。私も今回はちょっといい買物をするのだ。マックス・マーラにフラフラ入って「やっぱりいいな〜」とうっとりしていたら、鏡に写る自分の姿に気付く。一応よそゆき仕様のシャツを着ているが、ハードな(?)旅に耐えてきたブラックジーンズが白ぼけてヨレている。すっごくみすぼらしい姿である!するとキレイな店員さんが「May
I help you?」とニコニコと近寄ってくる。もう頭の血がサーッと引き、曖昧な笑顔を浮かべて「見てるだけー」とかナントカ言いながら逃げるように店を出る。「まずは服を買うための服を買おう!」と思った。だってさあ、ブランドのプライドに対してこちらもそれなりの服を着て、レディとして扱ってもらい、アドバイスを受けながら楽しく買物がしたいもん!・・・で、デパートに駆け込んで黒の麻のシンプルなワンピースを買う。なかなか使い勝手がよさそうだ。このワンピにいつものGAPの7分袖ダンガリーシャツでドレスダウンすればカジュアルだけどキチンと感があってオッケイ、なんて雑誌のコメントみたいなことを自分に言い聞かせる。また明日来てやるからな!と誰に向かって言ってるんだかわからないが、心で叫んでドゥオーモを去る。
ヤマちゃんのプラダ事件
ミラノ中央駅にはスーパーマーケットがある。私は主婦でもあるのでスーパーはもう大好き!海外では絶対にスーパーを覗く。珍しい食材や缶詰などをあれこれ見ていると、その土地の食生活が垣間見えるようで楽しいのだ。ヤマちゃんと食べようと思ってイチゴと洋ナシとヨーグルトとオリーブ(持参の米で作るおにぎりの付け合わせ。漬物代わり)を買い、ドラッグストアでシャンプーと虫さされのクスリを買う。「モスキートにやられた」と言っても英語が通じないので、虫さされ痕を見せたら一発で塗りクスリを出してくれた。ホテルに帰るが、部屋で寝ているかと思いきやヤマちゃんの姿がない。ど、どうしたんだろう。病院で手間取っているのか、まさか入院!?心配していたら9時ごろヤマちゃんが元気に帰ってきた。なんとっ、プラダのでっかい紙袋を提げているではないの。「病院でクスリもらって帰りに買物しちゃったよ〜」と、戦利品のプラダのナイロントートバッグを見せる。プラダだと!?私でさえ今日は踏み込むのをチュウチョしたプラダに、あなた・・・。「あの・・・まさかさあ、そのカッコでプラダに入ったの・・・」おずおずと尋ねると、「このカッコで入ったに決まってるじゃん」としれっと言うヤマちゃん。彼女はいつもの戦場カメラマンスタイルにごっついウエストポーチをし、素顔にヒモつきメガネをかけ、髪もくしゃくしゃのままだった。旅行中はラクで機能的な服装に限る。その意味ではヤマちゃんは満点である。だけど、そ、そのカッコでプラダはないんじゃないか〜。ヤマちゃんがそのカッコでプラダにいることを想像すると、恐ろしくてあたしゃめまいがするよ〜!私がTPOがどうだの説教を始めたら、ヤマちゃんはふうっとため息をついて「あのね、こっちは金払ってんだよ。客がどうして店に気を遣わなければならないワケ?」と言った。そして今日の私の葛藤を話したらヤマちゃんはゲラゲラ笑った。
この件は「プラダ事件」として二人の間で語り継がれる話となったが、どちらも自分の方が正しいと信じて譲らない。
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