6/14(月)ヴェルツブルク→フランクフルト→
フランクフルトへ
ヴェルツブルクからフランクフルトはもう目と鼻の先。朝、ペンションシーガルをチェックアウトし、ピカピカのドイツの超特急列車ICEに乗ればロマンチック街道北上の旅はおしまい。旧東ドイツの街やメルヘン街道などを訪れたかったが、情けないことに体力と気力がもう限界。オランダ・ベルギーへの興味すら残っていない。このままフランクフルトからまっすぐ夜行でパリに入り、パリの安宿で旅の疲れをゆっくり癒すことにした。フランクフルト中央駅。ドイツ経済の中心地のひとつでもある都市。とても賑やかで大きな駅。駅のコインロッカーに荷物を預け、今夜のパリ東駅行きの夜行のクシェットを予約する。
ではでは、フランクフルトを観光。歩いて廻れる距離である。駅前からまっすぐ伸びているカイザー通りはフランクフルトのメインストリート。ちょっといかがわしい雰囲気が漂うぞ。フランクフルト中央駅周辺は治安が悪いらしい。ロマンティック街道の街とはかなりおもむきが違う。ここは都会なんだ。ポルノショップ(日本語で呼びかける店には近寄らない方がいいそうです)も多く、ちょっと歌舞伎町的。そこに、ローストチキン屋を発見。にわとりの丸焼きが店の前でこんがり焼かれてクルクル廻っている。フュッセンから乗ったヨーロッパバスで一緒になった日本人の女の子が「ドイツはローストチキンが美味しい」と言ってたっけ!迷わずずんずんと店に入り、テイクアウトでハーフサイズのチキンを買う。どやどやと中国人観光客が入っていった。ということは、けっこう有名な店なのかなあ。チキン単品だけではなく、ピラフと盛り合わせたのも食べられる。
紙袋に包まれたローストチキンをこっそり頬張りながらカイザー通りを歩く。皮がパリッとしてお肉はジューシーでボリュームたっぷり。なかなか美味しい。
ゲーテハウス
『若きヴェルテルの悩み』『ファウスト』の文豪ゲーテの生家へ。キッチンには大きなゼリー型がたくさん並び、美味しい料理が並ぶあたたかい家庭だったんだなと思う。ゲーテ自身も「明るく広く陽気な家」と書き残している。書斎も彼が使ったままの家具を配している。調度品も貴族らしい趣味。
マイン川の川縁を歩いて、向こう岸へ渡り、飲み屋街のザクセンハウゼンをちょっと覗く。しかし午前中なので残飯をあさる猫たちがいるだけ。近くにはユースホステルがあり、ここに泊まると夜遊びには最高。りんご酒やビールで世界中の旅人とワイワイやるなんて、きっと楽しいだろうなあ・・・。
レーマー広場
市のシンボル旧市庁舎がある。ここはいにしえのフランクフルトを再現した建物が並ぶ。しかし、観光用にムリヤリ作った印象が強い。新宿アルタ前をいきなり江戸村にしたような感じ。フランクフルトは国際見本市などが行われる商業都市であり、観光するような場所ではない。フランクフルトはドイツ中のビジネスマンと、そしてワルイ連中が集まっている街のよーだ。のどかなバイエルンが嘘のようだ。ここは都会なんだ。
ひたすら時間つぶし
パリ行きの列車は22時発。しかし、まだ午前11時。美術館もあるが、旅が長くなり疲れてくると、「見る」ことにすっかり疲れてしまう。私はこの11時間をデパートをウロチョロしたりベンチにへたりこんだりして過ごすことになった。フランクフルトソーセージの美味しいお店に行ったが、ビルが工事中で断念。しかたなくデパートに入り、最上階の「お好み食堂」のブッフェへ。何を食べたか忘れたが、窓から見える高層ビルの景色を眺めている退屈そうな旅行者は私以外にもいた。デパートの各階を丁寧に見て廻る。タオルがふんわりして可愛い柄のものが多かった。近くのファッションビルにも寄る。色んなブティックが寄り集まっているが、どれもセンスがいまひとつ。スペインとどっこいどっこい(ロエベなどの皮製品を除く)。
デパート前のベンチに座り、行き交う人々をぼんやり眺める。食事代わりか、バナナを頬張りながら歩いているビジネスマン。ちょっとチンピラっぽい男たち・・・。こんなふうに街の呼吸に合わせ、ゆったりとした時間の流れに身をまかせたことってあったかなあ。ストリートミュージシャンのガラスの打楽器の音色の中でふと思う。
気安いとは言え・・・
駅前やカイザー通りの夜は一応避けて、明るいうちに駅に移動する。
フランクフルトでの一日で面白かったのは、やたら人に声をかけられたこと。私は気安い雰囲気があるらしく、よく道を尋ねられる。この日はぼんやり座っていたりのんびり歩いていたせいもあって、やたらお声がかかった。
「火(ライター)を持っているか」3件、「今何時」2件、「タバコくれないか」1件、駅で「この電車は○○へ行くのか?」1件、そしてナンパ2件の計9件。ナンパったって内訳は「老いてなお盛ん」なジイさん(「東洋系ならワシでもひっかけられる」とでも思ってるのか!)と、スペイン人。このバルセロナから来たというスペイン人は私が無視しているのもかまわずベラベラしゃべり、しまいには「さあ、頬に3回キスをしておくれ」とほざく。「いやなこった!」「なんで?これがスペイン式なんだ」「わしゃ日本人だ!(初対面のあんたにそんなことするスジアイはない)」「なんで?そんな人生つまんないよ」。こいつにゃ話は通じんわい。その場を立ち去る。しかし、何で私の方がこの場を離れなきゃならないのか腹が立った。マドリッドのホテルのホセおやじにしろ、トレドのおやじにしろ、スペイン男のゴーインなナンパぶりは何だか笑えるものがある。
最後のクシェット
パリ行きの夜行のクシェットに乗り込んだら、めちゃめちゃフレンドリーなアメリカの女の子と一緒になった。彼女がやたらしゃべる子で面白い。「日本人?わーっ、大きな都市よね!私はねー、テ・キ・サ・ス。どひゃひゃひゃ。知ってるよね。そうなのよー、あの世界的に有名なド田舎!」と一人でウケて大笑いしている。ウシだってウマだってウロチョロしてるんだから!とか何とかベラベラベラと。もう誰かとしゃべりたくてしゃべりたくてしょうがないっという感じで楽しかった。しかし、私はしゃべりたいことが口に出ない・・・彼女が色々質問するたびに、つっかえつっかえ話すのがもどかしい。英語を絶対にマスターしようとさらに決意を堅くする。見回りの車掌さんはフランス人。ああ、オランダ・ベルギーを越えて一気にフランスへ行くんだな。この車輌もフランスの国鉄SNCFのものだ。SNCFのシーツは下に敷く部分と上にかける部分が足元でつながっている「ミノムシ型」。そう言えばフランスのユースホステルのシーツもミノムシ型だった。私はシーツや毛布を足に挟んで寝るのが好きなので、ミノムシ型だと足が身動きとれなくて苦手なんだなあ。夜じゅうモソモソして今一つ眠れず。汽笛の音を遠くに聞く。
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