1.動き出すIDC(参加の章) ―10月26日 10時30分―

 10月もそろそろ終わり、学園祭まで残すところ1ヶ月。授業に空きがある部員4名
(部長、副部長、会計、学園祭代表責任者)が集まり『やるもん無いからなんか考えよう会議』
を行う事となった。集合時間まで間があったので、集合場所とは別の教室で部長と2人、
席を並べてパソコンのディスプレイに向かっているといきなり…、
 「東京モーターショーに行こう」
…などと部長がのたまった。

 またお得意の思いつき発言であろう。「ソウネ、イイカモネ」などと生返事を返し、レポート提出に向け
キーボードを叩いといると、やけにしつこく言ってくる。
 とりあえず顔を向けまじめに聞く態勢を整えてみる。するとどこからかプリントアウトしてきた用紙を
見せてきたり、前売り券なら200円引きだなどとキケロの如き熱弁を振るってきた。
もしかしてこいつは……

(…本気?)

 ……なーんてこった!この部長がやる気を見せるなんて!!学園祭まであと1ヶ月、
『展示するものなにもなーし』という危機的状況に気付き、必死に考えてくれたんだね…。
感動したよ、おぢさんは…。
『こんな事で感動するのは部活動を行うものとしていかがなものか』という気もするが、
そこはIDC副部長。小さい事は気にしない事とし、彼の提案に同意する。
 そうと決まれば話は早い。とうに集合時間も過ぎているので、原因不明のフリーズをさせてしまった
パソコンの電源をぶった切り、意気揚々と部室に向かう。

 …誰もいない。

 これはいったいどういう事でしょうか?遅刻しておいてなんですがね、せめて一人ぐらい居てくれても
悪くは無いと思うのですがね、副部長は。
 しかしまぁ、『部長・副部長が遅刻してどーする』などと手痛い突っ込みを頂戴するよりましかと思い、
気を取り直して着席。彼らを待ちつつ、今後の計画をポツポツ立てることとする。

 …が、一向に来る気配無し。自らの額の隅ににわかに静脈が浮き出てきたので、部長に電話を掛けるように
促したまさにその時、
 「ごーめん、遅くなっちゃって」
 会計登場。
 額の青スジを隠しつつジェントルに振る舞い、とりあえず着席させる。元々自分達も遅刻してきたので
あまり偉そうな事も言えない。残りの一人、学園祭代表責任者はまだ来ないが早速本題に入る。

 するとどうだろう。会計さん、何やら苦笑いを浮かべております。問いただしてみると
驚愕の事実、発覚。

 「…実はすでに前売り券買ってある」

 ……なんですと?すでに買っていらっしゃる。さいですか。……何というタイミング!
聞けばたまたま駅近くで前売り券を販売しており、興味が沸いて購入したとのこと。
 さっきまでの怒りはどこへやら、『素晴らしいよ会計さん』などと尊敬の眼差しで見つめる。
ついでに『何で誘ってくれなかったの』という寂しい視線も送ってみるが、どちらも気にされません。
一瞬『2人が私にドッキリでも仕掛けているのではないか?』などと邪推してみるも、彼らもそこまで
暇なハズは無い。やはり本気なのだ。

 (形は違えどこの2人、色々頑張っているんだなぁ)と、少ししみじみする。同時に『自分は何もしてないなぁ』と、
別の意味でしみじみしてきたが、そこはIDC副部長。細かい事は気にしない事とし、話に花を咲かせる。
残りの一人はまだ来ないが。

 その後『いつ行くか』、『その日の授業はどうするか』、『どういう経路で行くか』、『どのような取材を行うか』、
『かかった費用はどうするか』などの話し合いが行われる。残りの一人はまだ来ないが。

 そして『授業が一限しかない日に行く』、『授業が終わった後、電車で会場に向かう』、
『道案内は会場と家が近い会計』、『取材は随時メモをとりつつデジカメで撮影』、
『費用はチケット代のみ部費から捻出』といった具合に決定した。残りの一人はまだ来ないが。

 しかし……学校から会場である幕張まで片道約2時間は、忍耐力の欠片も無い自分にとって正直辛い。
が、学園祭のネタも無いし、個人的にも行ってみたいし、何より二人がやる気なのがとても嬉しいので
取材のための準備を和やかに整える。

 十数分後、用事があるので細かい作業は部長と会計に任せ、一足先に自分だけ部室を後にする。
実に楽しみだ。きっと自分が大好きなよく知る車、前作のポリシーを受け継ぎつつ改良された車、
斬新なフォルム・奇抜なアイデアが搭載された全く新しい車、そして全ての始祖である古い車などが
あるのだろうなぁ…などと、今だ見ぬ会場に思いを馳せる。

 学園祭代表責任者はとうとう来なかったが。



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