5. 存在理由の欠如、影部員の暴走(中央の章) ―10月30日 15時00分―

 いよいよ中盤戦、中央モールのお時間がやってまいりました。ですが突入前に問題が。そう、パンフレットです。
重いのはこの際我慢しますがね、嵩張るのですよ、大きさが各ブース毎に区々なので。
 というわけで西ホールと中央ホールの境目、やすらぎのモールで100円の紙袋を購入。
OK,これで楽に持って行ける。中央モールは本田、三菱、TOYOTA、ダイハツ、フェラーリ、マセラティ、スマート、
ダイムラー・クライスラー、AMG、ポルシェ、ヒュンダイ、アウディ、シトロエン、ランボルギーニといった具合に
豪華絢爛。故に素早くパンフレットを掻っ攫う必要がある。この紙袋によって作業効率3割増は確定だ。
教えてくれた部員に感謝する。次からはもっと早く教えていただきたい。
 西ブースで時間を食ったので、さっさと回ろうという事になる。早速パンフレットを広げ会場の全体図を見る限り、
やすらぎのモールを抜けるとすぐフェラーリブースだ。フェラーリといえば誰もが知る社名。私達の世代にとっては、
プラモですら憧れですよねぇ。IDC部員一同、一丸となり心のシャングリラへと向かう。

 到着。が、人だかりの中にはあり、コンパニオンさんもいるものの、一向にパンフレットは見当たらない。
あれだけの紙の束だ、遠目で見ても分かるはず。しかし全く見つからない。挙動不審は承知の上で遠くから
ウロチョロしてみるも、やはり無しの礫。一体どうしたのだろう。
 ふと影部員が肩を叩く。何事かと思い見返すと、呆然とした表情でブースのカウンター
を指している。どうやらカウンターに載っている看板を指しているようだ。私は目が悪い
ので、やや近づいて目を凝らす。すると看板には信じられない事が書かれていた。

 本日のパンフレットの配布は終了致しました。

………ちょっと待て。いくらなんでも………それは無いんじゃないの………?
 甘かった。油断していた。いくらフェラーリといえどもパンフレットが全て無くなるなんて事になるとは
思いもよらなかった。到着と同時にここに来るべきだったか……!
 悔やんでも所詮は後の祭。いくら喚こうがパンフレットが手に入るわけでは無いのだ。
『全てのパンフレットを手に入れ学園祭で展示』という壮大な計画が破綻した以上、今まで集めた
他のパンフレットのレーゾンデートルは消滅するように思えてきた。
 いやまて落ちつけ考えろ。フェラーリのパンフレットだけ誰かから借りよう。きっと知り合いでフェラーリの
パンフレットを持っていてくれる人がいるはずだ……!
 あらぬ期待は無用という言葉が頭の中を掠めるが、そこはIDC副部長、ネガティブな思考は
気にしないものとし、車自体を見学しようとする。が、いまになって影部員がキレ出した。私の胸倉を掴んで、
どういう事だ!!と激昂する影部員。人が立ち直った瞬間に八つ当たりをかましてくるこの男を宥められるほど
私は口達者ではないし、人間できてもいない。せっかく静めた怒りの炎がバッククラフトのごとく燃え広がる。
フェラーリブース前で、罵詈雑言のみ使用許可されたIDC討論が開催された。
(注:諸事情により会話の内容は全編カット致します。ご了承下さい)

 暫くしてようやく怒りも収まったので、フェラーリとマセラティを見学。全てクーペのようです。
マセラティの『スパイダー』、『3200GT』の改良版かと思いきや、結構色々変わっている様です。
 続いてスマートブース。黒い車体の『クロスブレード』は見た目とは裏腹に6速AT(MTモード搭載)です。
 さらにダイムラー・クライスラーで『ウィリス2』発見。『ウィリス』は『2001年度・工業デザイン・エクセレンス・
コンペティション』で金賞を受賞した一品。工業デザイン部としては目が離せなくて当然であろう。
この車のスタイリングは四角だけで構成されていると言っても過言ではないほど直線的だが、
乗り心地は結構良いらしい。

 メルセデス・ベンツ発見。『F400カービング』はメルセデスにしては革新的といった感じ。
スリーポインテッドスターが遠くて見えないので、ホントにベンツか?と少々疑念を抱くほどである。
 お隣のポルシェブースへ。同時多発テロの影響で利益が落ち込んでいるとの噂を耳にする。しかしそこで見た
『911タルガ』は、そんな噂とは正反対に、大型な透明ルーフで明るい車内であった。

 そして噂の韓国の会社、ヒュンダイ。コンセプトカーの『TB』は『韓国製は安い』というイメージを一新する
そうだが、日本の軽自動車よりも安い値段を目指しているという。

 一体どっちなんだヒュンダイ。

まぁ、安いに越した事は無いけど。
 続いてダイハツ・TOYOTAブースに向かう。ここは2つで1つのグループの様で、同じパンフレットを
2回もらってしまった。仲が良いのはよろしいが、出来れば統一して頂きたい。
 ダイハツの『FFウルトラスペース』、軽のワンボックスでFF車、意地でもFFって感じがするところが
ダイハツらしいと言えばダイハツらしい。
 そしてTOYOTA、噂の感情を持つ車『pod』を見ようとするが、影部員の姿が見えない。
ここのブースは混んでいるので、はぐれると厄介だ。影部員を探しに行く……ふりをして三菱のパンフレットを
もらいに向かう。道中、事のついでに影部員を探すが見当たらない。仕方なくTOYOTAブースにいる
部長と会計の元に戻ると、すでに影部員もいた。

 影部員が「どこへ行っていた」などと尋ねて来るので、とりあえず「貴様を探しに行っていた」と答える。
すると影部員、何も言わず無表情でじっと見つめてきた。過去の傾向からいって面倒な事になる気がしたので、
素直に三菱ブースに行っていたことを白状する。すると影部員、事も無げに会計に言い放った。

 「ほら言った通りだろう?」

どうやらこちらが嘘をつく前から全てお見通しだったらしい。流石は我が心の友と言うべきか。
そんなわけで影部員はもちろん、会計も嫌な笑いを浮かべてこちらを見ている。自分の薄っぺらさが
身に染みてきたので、小さくなりつつ取材に専念する事にした。

 ようやく『pod』にお目に掛かる。会社の人が「パソコンに接続してあーたらこ−たら」と言っているが、
遠くからではサッパリ分からない。近くで見ようにも人でいっぱい。しかしSONYとTOYOTAとは
また凄いコンビだな…。

 結局あきらめて三菱ブースへ。ここでの御目当ては何と言っても『ランサー・エボリューション』である。
出展区分は赤い車体のモータースポーツ車両。欲を言えば普通の青い車が良かったのだが、それは街中で
探すことにする。しかし三菱、『スペースライナー』といい、『S.U.P』といい、近未来的なフォルムですなぁ。

 お隣の本田ブースへ。やはり見たいのは『UNIBOX』である。透明なパネルによって、室内は外から
丸見えという代物である。これでも安全性や快適性に優れているらしい。見ている分には良いが、
これに一人で乗って外を走るのはちょっと勘弁だ。この車、オプションで透明ではないアルミや樹脂のパネルと
交換できる様だ。でもそれって……

 この車の意味ないだろ。

やはり私は『NSX type―R』が一番好きなようです、本田さん。

 その後アウディやシトロエンやランボルギーニのブースへ。人が結構いて説明が聞こえない。
あきらめて写真だけ取るよう、部長に頼む。ランボルギーニの『ムルシエラーゴ』、まさにディアブロの後継者
といった感じでスタイリング最高。
 アウディの『R8』は『ル・マン』でその名を轟かせた一品。デビュー時の2年前と比べて、
スタイリングにかなり変化ありです。

 以上、中央ホールを全て見学しました。突然ですが、会場の皆さんにご相談があります。

 フェラーリのパンフレットを譲って下さい(泣)


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