第2章:電車→池上編



 というわけで、チェスセンターのある池上駅へ電車で向かっ
ている最中なのであるが、会話があまり弾まない。会ってすぐ
だから、というのも確かに有る。が、最大の問題は、日中乗客
率100%の車内の中で、



いつもの会話ができない



という事であろう。ONEさんの立場から言えば、いつも通り
でもいいかもしれないが、こっちは困る。ここは東京、私のホ
ーム・グラウンドである。しかも通学に使ってもいる電車、ハ
メ外せるわけが無い。

 そんなわけで、しばし雑談が続く。2度しか来たこと無いの
で乗り換え地点でちょっと迷ったが、そこはご愛嬌。帰りはO
NEさんに覚えていてもらおう。

 乗り換え後、座れたせいか、先が長いせいか、会ってしばら
く時間が経ったせいなのか、少しずついつもの調子が戻ってく
る二人。ONEさんは病院からパクって持ってきた怪しげな薬
を紹介してきた。車内の空気が数度下がるのを確認。北海道の
気候はこんなもんなのであろうか。周りの一瞥くれるような視
線に、嫌な汗がでてくる私。
 相方がそんな調子なモンだから、こっちはこっちでいつも通
りのツッコミをするしかない。通学ルートからはだいぶ離れた
ので、もうどうでもいいや。などと思っているとONEさんは
何やら不可思議な面持ち。そして一言、



「やっぱりカフェさんは、
 中身もカフェさんだね」




などと宣った。一体どういう意味だ!?ONEさんはどういう
気持ちでこの一言を告げたのであろうか・・・・・・。
 この時のONEさんの心境は、帰りの電車の中で私自身、身
を持って実感する事になったのであるが、それはもう少し後の
話である。

 そんなことをやっている内に目的地である池上駅に到着。と
りあえず昼食でも、という話になったので近くのマックへ・・
・・・・と思ったが、ONEさんが全席禁煙は嫌だと駄々をコ
ネるので近くのミスドへ。ちなみにマックを出る時に、親子連
れの方々に妙な目で見られていたのは黙殺する事にした。

 で、昼食。もちろん年長者であるONEさんの奢りである。
奢って貰っていてなんだが、周りは女性が大半の中、野郎二人
組みは私的にちょっぴり居心地が悪かった。が、ONEさんは
動じる気配が全くなし。流石に場馴れしているようだ。こうい
ったオッサン目上の方の強かさは見習うべきものが有る。こう
なりたいわけでは無いけれど。

 腹は一杯、余は満足じゃ。ではそろそろチェスセンターに行
こうかのう・・・・・・といった次第で、ようやく足を向ける
ことになった。とりあえず行く前に飲み物を持ち込もうという
ことになり、コンビニでジュースを購入、再び奢ってもらう。
しかし毎度毎度奢ってもらうのも流石に気が引ける。というわ
けで、



体で返すことになった。



つまる所は労働奉仕。簡単に言うと荷物持ち。二人分の飲み物
を私が持っていくだけである。変な誤解の無いように。

 数分後、チェスセンターに到着。ここはとあるマンションの
一室で、私が初めて行った時はちょっと引いた。その事に関し
ては前々から言っておいたのだが、実際目の当たりにし、さし
ものONEさんも少々引き気味のご様子。3度目の私は流石に
慣れたが。

 部屋の前に立つ。扉の中央には『ご自由にお入りください』
と書かれたプレートが。ONEさんはONEさんで、『そんな
事を言われても』といった表情である。二人の雪一族、どちら
とも無く顔を見合わせ、意を決して中に入っていった。





第1章に戻る/レポート2002に戻る/第3章に進む