| 第5章:電車→???駅編 |
どうやら電話も終わったようで、ONEさんがコチラに近づ いてきた。その表情は、にこやかで、爽やかで、そして不気味 で。明らかに『ワタクシ、何か企んでおります』といった雰囲 気を全身から醸し出している。 それを見て、人間の持ちうる全ての感覚が『カフェさん、危 険だヨ逃げよう!!』などと警戒信号を発してきた。目で見て も、耳で聞いても、鼻で嗅いでも、見事なまでの危険っぷり。 北国に住みたもう羆ですらも、裸足で逃げそうな勢いである。 そんな訳でさっさと帰りたくなってきたが、こんな人でも一 応一族の長。一応ONEさんを信じ、一応話くらいは聞くこと にした。 しかしONEさんは、「行こうか」とか言うだけで、全く答 える気無し。こっちの意見は全く聞く気無しだ。こういう他人 の意見を一切受け付けない人物で無いと、世知辛い人生を生き ていけないのであろうか。長が生きる世界は、そういう世界な んだなぁ。ま、同情しようという気がせんでもない。 で、私たちは今、駅に向かって歩いている。道中私は、ON Eさんが「この辺ケーキ屋無い?」と聞いてきたのが気になっ て仕方がなかった。この時点で何故ケーキ? ひょっとして、 お土産買ってもう帰るのかな?? でもケーキ屋なんぞ、北海 道に沢山あるだろうし・・・??? 訊ねても、当然答えてくれない。ここまでくると、『怪しい 方が普通で、怪しくない方が怪しい』などと思い始めてきた私 の脳はヤバイのであろうか。 とりあえずケーキ屋は私も知らない。地元でケーキなんぞ買 わんし。よってそのことは一先ず置いておき、駅に向かって歩 いている。しかしもう一つ、大きな問題が生じてきた。 私ら、どこに向かっているの? 駅に向かっているのは判る。しかし電車に乗ってどこに行く かが判らない。訊ねても、やはり教えてくれない。秘密主義と いうか、何というか。 しかしだ。行き先とそこまでの所要時間が全く判らない行動 は、存外神経に負担を齎すものでして。この場面で胃が痛くな ってきたのは、あながち気のせいとも言い切れないであろう。 ましてや相手はONEさん。どこに連れて行くのか判ったモ ンではない。いつしか自分の事を『ヤク中のポン引きにボッタ くりバーに連れて行かれる人』とダブらせてしまって、かなり 悲愴な気分になってきた。 そんな私の心情を知ってか知らずか、切符を買って電車に乗 り込むONEさん。電車の中で雑談しつつ、どう問いただそう かと考えていた私だが、結論出るまもなく乗換駅へ。ホーム対 面の発車しそうな電車に、慌てて飛び込む。 とは言っても行き先の判らない私は、ただONEさんに付い て行くだけ。なのであるが、それにしてもONEさんの行動は 機敏である。手際よく乗り換えた事といい、どうやら一度は行 った事のある所へ向かっているらしい。 その辺の話をONEさんにしてみると、『一度通った道は、 大抵忘れない』とのこと。でもチェスセンターからの帰り道は 全く覚えていなかったような・・・。その辺の話もONEさん にしてみると、『まぁ、そういうこともある』とのこと。大人 には、色々と有るらしい。 とかやっているうちに、下車。来たこと無い駅なので、何が どうだかサッパリ判らない。しかしONEさんは迷うことなく 歩みを進める。この時点で私が想像していた今後の展開は、 1.ONEさんがナンパ開始 : 70% 2.このまま帰る : 15% 3.シルクさん登場 : 10% 4.ポン引き : 5% こんな感じだ。やはりナンパが本命であることは、誰もが予 想するところであろう。ちなみにポン引きについて知らない方 は、知らないままで構わない。これはONEさんが生きる世界 の話だから・・・。 とは言え、想像だけでは何もできない。いい加減説明をする ように主張すると、また何かしら企んでそうな笑顔で、「二人 でナンパでもしようか」、とのこと。これは・・・もしかして ・・・本当に・・・・・・、 ONEさんの生ナンパが見れる!? これは実際凄いことである。いまさら説明するのも面倒くさ いが、ナンパとONEさんは切っても切れない間柄。ONEさ ん=ナンパ、ナンパ=ONEさんという公式が、必要充分条件 の如く明確に成り立つ。 ONEさんのナンパと言えば、こんなエピソードがある。以 前私がJgameで女性の方(HNからして)と対戦している 時、ONEさんが観戦しに来た。最初は私の応援にでも来てく れたのかな? とか思ったが、そこはONEさん、そんな酔狂 なマネをしてくれる筈も無く。私をほったらかしにして女性と 話し始めた。まぁONEさんだしな・・・などと思いながら試 合を進めていると、いつの間にやらチャット欄が豪い事になっ ていた。 まず最初は、相手のHNのことを褒めていたと思う。可愛い とか何とか。まぁその辺は実際私もそう思ったので、「そうで すね〜」などと言ってみた。しかしこれだけでは終わらなかっ た。何か色々聞き出している。相手の実名、年齢、趣味、住ん でいる地域 etc...。 深い知識と巧みな話術を駆使するONEさん。その会話のキ レ具合は、正しく恋のジャック・ナイフ。そんな会話に私が口 を挟めるハズも無く。只々黙々と試合を続けていた。そもそも 口を挟もうにも、そのチャットスピードは私を遥かに凌駕して おり、介在する余裕なんぞ露ほども無く、会話は進む進む。実 際何度も詰むチャンスはあったのだが、どこで詰んで良いか判 らない。会話の裂け目を狙おうとしても、そんなに都合良くは いかなかった・・・。 他の観戦者が入ってきても、会話は続く続く。相変わらず押 し黙ったまま、只管に耐え忍ぶ私。しばらくそうしていると、 会話が一旦(ホンの一瞬)途切れたようなので、間隙を縫って詰 む事にした。 「ありがとうございました」と言って、試合を終わらせる私 達。私よりONEさんの方が、絶対印象に残っていると見た。 「おつかれさま」と言って、私達を労うONEさん。誰のせい で疲れたと思っているんじゃ!! ・・・しかしまぁ、面白いものが見れた。私はこの事をしか と胸に留めて置き、後世まで語り継ぐことにしよう。そう、J gameがなくなるまで・・・・・・そろそろ潰れそうな気も するけど(←人があまり居ない時期だった)・・・・・・。 ・・・・・・とまぁ、こんな事があったのだ。チャットなど という文字の羅列だけで、あそこまで人のプライバシーに踏み 込めるのだ。実際の生ナンパとなれば、それはもうさぞかし神 懸っている事だろう。さすがナンパ界のGMだ・・・。 こうなったらもう、コチラの損得はどうでもいい。見たい! この目で!!ONEさんがナンパしている所を!!! ・・・・・・などと、約40行に渡って盛り上げといてなん だが、結局いつもの冗談だったらしい。ちぇっ。 |